最近「フラワーロス」または「ロスフラワー」という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは生産された花が消費者の手に渡らずに廃棄されてしまうことを意味する言葉です。
最近はロスレスブーケ(フラワーロスを産まない仕組みで販売されているお花)も話題になっていますが、さまざまな企業がフラワーロス削減の取り組みを実施しているので、それもあわせて紹介します。
ロスレスブーケが美しすぎて感動した。幻の百合マルコポーロを注文。
フラワーロスってなに?
コロナ渦で冠婚葬祭やイベントが少なくなったことで、多くの花が捨てられている課題が浮き彫りになり、フラワーロスまたはロスフラワーと呼ばれるようになりました。
新型コロナウイルス感染症は,花き業界にも多大な影響を与えた。特に 2020 年 3~5 月の第 1 波では,
小売業におけるフラワーロス対策の内容解明・東京農大農学集報
業務用需要が大幅に減少した結果,大量の花が廃棄され,「フラワーロス」と称された。しかし,小売店で
の売れ残りに伴うロスや,出荷規格から外れたことによるロスなど,花の廃棄の問題は以前から存在してい
る。
フラワーロスとSDGs
フラワーロスと関係性があるのが、SDGs(持続可能な開発目標 )における17の目標のうち、12個目の目標として掲げられているのが「つくる責任 つかう責任」です。
少し文章が硬いですが、12個目の目標の中にはこんな目標があります。
- 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
- 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
- 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
最近は、本来は綺麗だけど「色や形が悪いから」と捨てられていた花をオンライン販売でロス削減に繋げているサービスがありますが、それはまさにSDGsの一助となります。
また、フロワーロスについて知ることや日常で意識することもSDGsの取り組みの一つだと思います。
フラワーロスの原因
ロスフラワーの原因として、主に下記のような理由が挙げられます。
- 色・長さ・花の形が悪いから捨てられる花が多い(規格外ロス)
- お店で仕入れた花が売れ残ってしまう(店舗ロス)
- 供給量よりも需要が少ない
フラワーロスのリアルな現状
農林水産省が発表している資料を見る限り、お花の市場は結構まずい状況が続いているようです。
日本の花き市場の実態として、産出額では1998年の約6,300億円をピークに減少が続き、2016年では約3,778億円と約40%減少したことを示した。また、1世帯あたりの生花の年間購入金額について、1997年が13,130円だったのに対し、2017年では8,757円まで約20%減少したことを明らかにした。栽培農家数も2000年の88,000戸から2015年の5,400戸へと39%減少した。
農林水産省:花きの需要・供給の将来予測による総合的対策のとりまとめ
花の廃棄量
フロワーロス総量は1年間で10億本にものぼると言われています。フラワーライフ振興協議会の記事によると、お店が仕入れた量の30〜40%が廃棄されるようです・・・!日々花が捨てられている現状を考えると、個人単位でもできることはないかと考えさせられます。花で得られる効果を考えると、規格外のお花でももっと活用できるシーンがあっても良いんじゃないかと思います。
皆さんは「ロスレスフラワー」というお花をご存知でしょうか?
「ロスレス=ロスがない →フラワーロスがない」という意味になりますが、フラワーロスを産まない仕組みでWEB販売されているお花になります。
ロスレスブーケはWEB販売をしていて、チューリップやラナンキュラスなど季節のお花を10-20本くらいのボリュームで、なんと送料込み2,200円〜提供しています。最近はこのように、フラワーロスを削減するための仕組みを実施されている企業も増えてきています。
実際に購入した記事はこちら。素晴らしいお花が届きました。
1世帯あたりの生花の年間購入金額
1世帯あたりの生花の年間購入金額は20年間で約3,400円減少しているようです。中でも50代以降の高齢層が多く購入しているため、今後長期でみるとさらに減少していくことが予想されます。
若い方は忙しくて花を買いに行く時間がなかったり、花を飾りたいと思ってもお花屋さんまで買いに行くのが面倒だったりすると思います。そんな方はお花の定期便(初心者におすすめのbloomee)から始めてみるのもおすすめです。
総務省「家計調査」によれば,切り花の年間支出額(二人以上世帯)は2000年の11,553 円から2020年の 8,152円へと減少している。
小売業におけるフラワーロス対策の内容解明・東京農大農学集報
栽培農家数の減少
栽培農家の数も年々減少しています。2000年の88,000戸から2015年には、54,000戸に減少。農林水産省の資料によると、2020年には約42,000まで減少しているようです。また、生産者の方の72%以上が60歳以上とのことで、生産者年齢もかなり高齢化していることがわかります。
栽培農家数も2000年の88,000戸から2015年の54,000戸へと39%減少した。
農林水産省:花きの需要・供給の将来予測による総合的対策のとりまとめ
29歳以下の若者はお花を楽しむ機会が増えている。
これは個人的に意外でしたが、29歳以下の若者はお花に使う費用が増えたようです。日本人の“花離れ”が叫ばれている中で、若い方は花や自然全般に関心があるのかもしれません。
筆者はいま27歳でして、最近まで花を飾ったこともなかったのですが、お花の定期便を始めてみて、花のある暮らしの良さを知りました。ぼくのように体験してみて初めて良さに気づく方も多いと思うので、今後若者ニーズを広げていくことは非常に大切なことだと思います。
一方,2019 年と 2020 年における年代別の花き年間支出額を見ると,支出金額は世帯主の年齢が低いほど少なく,年齢が高いほど多いが,コロナ禍の 2020年においては 29 歳以下世帯で支出額が増加し,切り花では 716円から1,801円と増加した(図 2)。
小売業におけるフラワーロス対策の内容解明・東京農大農学集報
コロナ以降の花消費への影響
農林水産省が発表している資料を見ると、コロナ渦で自宅での滞在時間が長くなった結果、多くの方はお花やグリーンを部屋に飾りたくなったと回答しました。思っているよりも花からもらえるパワーは大きくて、人間の本能レベルで、ヒトは花や自然を求めているのだと思います。
花の国日本協議会が行った 950 人の対消費者アンケートでは 「(新型コロナウイルス感染予防のため) ご自宅で過ごす時間が長くなって以降、「花やグリーンを飾りたい」という心境になられましたか?」という問いに対して65%が「以前に比べ、ものすごく花やグリーンを飾りたくなった」と答え、25%も「以前に比べ、やや花やグリーンを飾りたくなった」 と回答した。
また、「ご自宅で過ごす時間が長くなって以降、自宅に花を飾る 「頻度」は実際に変わりましたか?」 という問いに対して、28%が「増えた」、28%が「やや増えた」と回答した。
新型コロナの影響に関わらず、「ご自宅に花を飾りたい理由として当てはまるものをすべてお選びください。」という問いに対して、90%が「癒されたい」、72%が「元気をもらいたい」と回答した。
農林水産省:花きの需要・供給の将来予測による総合的対策のとりまとめ
フラワーロス削減のための企業の取り組み
フラワーロスを削減するための取り組みを実施されている企業を紹介します。
FLOWER株式会社
「ロスレスフラワー」という言葉をつくった企業になります。
先ほども説明したように、「ロスレス=ロスがない →フラワーロスがない」という意味になりますが、この「ロスレスブーケ」を販売されている企業がFLOWER株式会社になります。
ロスレスブーケはWEB販売をしていて、チューリップやラナンキュラスなど季節のお花を10-20本くらいのボリュームで、なんと送料込み2,200円〜提供しています。WEBサイトの写真のクオリティも高く、自宅に飾ることで華やかになること間違いなしです。
この企業さんは花のロスを減らす独自の仕組みで、ボリュームがあるのに安いお値段を実現しています。
Hanavie
Hanavieさんは茎の長さや太さがまばらで、通常は花市場に出回らずに捨てられてしまうお花を取り扱っている東京のお花屋さんです。オンライン販売、イベントの装飾などさまざまな取り組みを行っている企業です。
株式会社GROUND
株式会社GROUNDさんは「SDGs」創業以来16年間フラワーロス(お花の廃棄率)ゼロ、フラワーギフトの依頼数が兵庫県でNo.1という企業です。オンラインショップでも販売されているようです。
株式会社GROUND代表の大谷裕佳は4歳の娘を育てながら、お花も自分の家族のように大切にしたい「お花は家族」という理念のもと、開業から15年間フラワーロス0(お花の廃棄率0)を達成しました。
PRtimes:年間で10億本を超えるお花が廃棄される「フラワーロス問題」と向き合う育児ママが神戸で新事業!
一般的な花屋のフラワーロスが30~60%といわれる中で、15年もの間フラワーロス0を続けてきたことは、お花を扱う花屋が自然や環境を大切に考え、SDGsが謳われる前から企業一丸となって取り組みを続けてきた成果です。
(株)BOTANIC
BOTANICさんはフラワーロス削減のためにこのようなミッションを掲げて活動しています。
花き業界をアップデートし、花・植物に関わる人を幸せにする
私たちの使命は、お客様、生産者、花屋などの、花や植物に関わる全ての人々を幸せにすることです。
そのために、複雑な流通や過剰な廃棄ロス、労働生産性、ユーザーニーズの未開拓など、花の生産から販売までの課題を、合理的かつ創造的に解決し、これからの花卉産業をリードする会社を目指します。
株式会社BPTANIC・MISSION
その中でも2019年に開始した「LIFFT」と呼ばれるお花のオンライン販売ではとても綺麗なお花が売られています。最近は定期便も始められたようですね。
ユーザーライク株式会社
本来は綺麗だけど「色や形が悪いから」と捨てられていた花を適正価格で買い付けて販売しているのが、ユーザーライク株式会社のブルーミー(bloomee)というお花の定期便サービスです。
お花を必要な分だけ仕入れ、売れ残しなどのロスを最小限に抑える活動をしているサブスクリプション型のサービスになります。ぼくはこのサービスを利用しているのですが、写真をみていただいて分かるとおり綺麗なお花が届きます。費用も安く、1ヶ月から簡単に始められるので、興味のある方は試してみてください。
フラワーロス削減のために個人ができること
日本には約5,000万世帯あるので、そのうちの20%が毎月1輪飾るだけで1.2億本以上の花が消費されます。お花を買うという活動はフラワーロスを減らす行為でもあり、それはSDGsの一助にもなります。
個人でできることを挙げてみます。
- フラワーロスについて意識して考えてみる
- 花の効果を理解して日常に取り込む方法を考える
- 家の中を半自然空間として日常的に花や植物と触れ合う空間にする
- 定期的にお花を買いに行く
- 忙しい方は花の定期便を利用する
お花のある生活で得られる効果|定期便を始めて感じた10個の変化
bloomee(ブルーミー)を始めてみて、いつもぼくの仕事デスクの上にはお花が飾ってある状態になっています。部屋に花が一輪あるだけで生活に良い変化があったので実際にあった変化やメリットを記事にまとめています。
花を飾るだけでこんな変化が出てきます。
- ストレスが溜まりづらくなる・リラックス効果がある
- 仕事や創作活動の刺激になり、クリエイティビティが増す。
- 家の中でも自然を五感で感じられる
- 時間の変化を感じれる
- 家族団欒や打ち合わせの時間が華やかになる
- 日々の楽しみが増える
- 花の生命力からパワーをもらえる
- 空間が華やかになる
- フラワーロスの一助になる
定期的に花の写真をこちらに掲載しているので、よければ覗いてみてください。
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